「亜鉛はEDに効く」と聞いたことはありませんか。亜鉛不足は、勃起不全(Erectile Dysfunction、以下 ED)の原因の1つと言われています。しかし亜鉛を摂取すると、なぜEDが改善するかはわからないですよね。
「亜鉛を摂るとペニスが勃起しやすくなるの?」「勃起したときの持続時間が長くなるの?」など、亜鉛がED改善に効く理由がよくわからないという人は多いです。また、亜鉛は「どうやって摂れば良いの?」という人もいます。
そこで、このページでは「亜鉛がEDに効く理由」と「おすすめの亜鉛の摂取方法」を解説していきます。ED改善対策として亜鉛をうまく摂取することで、セックスライフを充実させましょう。
亜鉛摂取がED改善に効果的な理由
EDに悩む40代男性のなかには、「亜鉛を摂取すると精子の量が増えてEDが改善」と聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。実際、EDに亜鉛は効果的です。それではなぜ、亜鉛を摂取すると、EDが改善に効果的なのでしょうか。
理由は、男性ホルモン(以下、テストステロン)が増えることで、性欲が増してペニスが勃起しやすくなるからです。
亜鉛を摂ると、体内の酵素の働きが活発になり、テストステロンが増えます。なぜなら、酵素には体内のコレステロールをテストステロンに変える作用があり、亜鉛摂取で酵素の働きが活発になれば、テストステロンの生産が促されるからです。
テストステロンが増えると性欲が増して、ペニスが勃起しやすくなります。
性欲は、性的な刺激をうけた脳から快楽を高める物質が出ると沸き起こるものです。テストステロンは、脳に働きかけて快楽を高める物質の分泌を促す効果があります。そのため、テストステロンが増えれば、性欲がどんどん増えていきます。性欲が増した結果、脳がペニスの近くにある勃起神経に「勃起しろ!」と命令を出して、ペニスが勃起するという原理です。
亜鉛の摂取量
EDを改善するために、1日あたりどれくらいの亜鉛を摂るべきなのでしょうか。
厚生労働省は、40代男性の1日あたりの亜鉛摂取量を8~45mgと定めています。下の一覧表は、厚生労働省が定めた年齢別の1日あたりの亜鉛摂取量の一覧です。(単位はmg)
年齢等 | 必要量 | 推奨量 | 耐容 上限量 |
18~29(歳) | 8 | 10 | 40 |
30~49(歳) | 8 | 10 | 45 |
50~69(歳) | 8 | 10 | 45 |
70 以上(歳) | 8 | 9 | 40 |
40代男性の場合、1日に摂るべき亜鉛の推奨量は10mgです。しかし、1日の摂取上限量45mgを超えなければ、10mg以上摂取しても問題ありません。しかし、上限量(45mg)より多くの亜鉛を長期間摂りつづけると、身体に負担がかかります。すると、前立腺がんのリスクや身体に必要な他の成分の吸収を妨げるなどの副作用を引き起こす可能性があります。
EDに悩んでいる40代男性は、1日に20~30mg程度を目安に亜鉛を摂取することをおすすめします。
亜鉛の摂取方法
亜鉛は、普段の食事から摂取することが可能です。亜鉛を食事から摂取するポイントは3つあります。ポイントは「亜鉛を多く含んだ食材を摂る」「食材を加熱する」「クエン酸と一緒に摂る」です。
亜鉛を多く含んだ食材を摂る
亜鉛を多く含む食材は、牡蠣が有名です。亜鉛と聞くと牡蠣を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。下の表は、亜鉛が摂取できる食材の一覧です。数字は食材100gの中に含まれている亜鉛の量です。
単位はmg
牡蠣(生) | 13.2 |
豚肉(レバー) | 6.9 |
牛肉(肩) | 4.9 |
かに缶 | 4.7 |
牛肉(肩ロース) | 4.6 |
牛ひき肉 | 4.3 |
牛肉(ひれ) | 4.2 |
たまご(卵黄) | 4.2 |
引用『簡単!栄養&カロリー計算』
上の表に掲載されているとおり、最も亜鉛を含んでいる食材は牡蠣です。生の牡蠣に含まれている亜鉛の量は、100gあたり13.2mgです。
食材を加熱する
食材に含まれている亜鉛の量は、加熱加工することによって、増えます。
参照『文部科学省 日本食品標準成分表 PDF(日本語版)』
牡蠣の場合、加熱加工することによって、亜鉛の含有量が100gあたり14.5mgに増えます。したがって、牡蠣を食べて亜鉛を摂取する場合は、生牡蠣を食べることより、加熱された牡蠣フライなどを食べることがおすすめです。
クエン酸と一緒に摂る
亜鉛は、体内で吸収されにくい性質を持っています。食事で亜鉛を摂取しても、他の食べ物や食物繊維などに取り込まれて、そのまま体外に排出されてしまうからです。しかし、クエン酸と一緒に亜鉛を摂取することで、他の食べ物や食物繊維に取り込まれることを防ぎ、吸収率の低下を抑えてくれます。
実際、厚生労働省が発表した研究報告書には、クエン酸と一緒に亜鉛を摂取した場合、亜鉛の吸収率は20〜40%から60%になると記載されています。
参照『グルコン酸亜鉛の使用基準の改正に関する部会報告書(案)厚生労働省』
亜鉛を普段の食事に取り入れてみた
「でも、具体的にどんな食事をしたら勃起しやすくなるのかな」と思ってしまう人は多いはずです。そこ
で、最も亜鉛を豊富に含んだ牡蠣を普段の食事に取り入れて、亜鉛の摂取量を検証してみました。
下の写真は、近所のスーパーで購入した牡蠣フライ(1パック5個入り)です。今回は2パック(10個)購入しました。
食べるときは、レモン汁(クエン酸)をかけて、亜鉛の吸収率を上げています。
衣を取り除いて計った牡蠣フライ1個に含まれている牡蠣の重さは8gです。
牡蠣フライ10個(牡蠣80g)に含まれている亜鉛の量を計算してみました。
14.5mg(亜鉛)÷80%(80g)=11.6mg
そして、亜鉛の体内吸収率をふまえて、摂取量を計算してみます。
通常の亜鉛の体内吸収率(20〜40%)の場合
11.6mg(亜鉛)÷40%(吸収率)=4.64mg
クエン酸効果を加えた亜鉛の体内吸収率(60%)の場合
11.6mg(亜鉛)÷60%(吸収率)=6.96mg
1個あたりの牡蠣の重さが8gの牡蠣フライを10個食べると、約4.64mg〜6.96mgの亜鉛を摂取することができます。しかし、40代男性の1日の亜鉛の推奨摂取量(10mg)を満たすためには、。牡蠣フライを 15 個から 20 個くらい食べる必要があるということがわかりました。
食事よりも手軽に亜鉛を摂る方法
亜鉛を含んだ食材を食事に取り入れてみてわかったことは、亜鉛を豊富に含んだ食材でも、かなりの量を食べないと1日の必要量の亜鉛を摂取できないということでした。食べる量が増えると肉体的にも経済的にも負担が大きくなり、「毎日続けていくことは、むずかしそうだな」と感じました。
そこで、私は「サプリメント」を利用して亜鉛を摂取しています。理由は、40代男性の1日に必要な量の亜鉛を手軽にとても摂取できるからです。
下の写真は、私が1日に摂取している亜鉛サプリメントの量です。
食事で亜鉛を摂取すると1日700~1000円ほどかかりますが、亜鉛サプリメントの1日あたりの費用は、約225円です。食事と比較すると、亜鉛サプリメントの利用は4分の1の費用で済み、経済的な負担も軽減されます。食事で亜鉛を摂取する場合でも、サプリメントを併用すれば、足りない分の亜鉛を補えて、食事にかかる費用も減らせます。
しかし、亜鉛サプリメントの種類はたくさんあるため、どれを選べば良いのか迷ってしまいます。
亜鉛サプリメントの販売サイトを見ても、「亜鉛が○○mg配合されています」などの文章が掲載されていて、亜鉛の配合量の多さをアピールするものが多いです。しかし亜鉛を効率よく摂取するためには、亜鉛の配合量が高いサプリメントよりも亜鉛の吸収率を上げるサプリメントを選ぶことをおすすめします。
なぜかというと、亜鉛の摂取量を増やしたとしても、体内の消化器官は吸収できる栄養素の量に限りがあるため、必ずしも十分な量の亜鉛が体内に吸収されるとは限らないからです。また上記したように、亜鉛の吸収率は体調や一緒に摂取した他の栄養素の影響を受けて下がることもあります。
また亜鉛を摂り過ぎると、体に必要な他の栄養素(例えば、亜鉛と同じミネラル成分の銅など)が吸収されにくくなる可能性もあります。したがって、亜鉛の配合量よりも摂取した亜鉛を効率よく吸収できることを考慮してサプリメント選びをしていきましょう。
摂取した亜鉛を、効率よく吸収するためのサプリメント選びのポイントは2つあります。それは「吸収率の高い亜鉛」と「亜鉛の吸収率を上げる成分」が配合されているサプリメントを選ぶことです。
吸収率の高い亜鉛
具体的に、吸収率の高い亜鉛の判別方法について解説していきます。「吸収率の高い亜鉛」は、「グルコン酸亜鉛」であるかどうかでチェック可能です。グルコン酸とは、食べ物の栄養を強化する食品添加物で、サプリメントの他にはあめ類飲料などに含まれています。
亜鉛の吸収率は、通常20〜40%ですが、グルコン酸が含まれた亜鉛の吸収率は、通常の吸収率の約1.5~2倍になり、およそ60%になります。
参照『厚生労働省 食品健康影響評価の結果の通知について』
亜鉛サプリメントにグルコン酸亜鉛が配合されている場合は、パッケージに記載があります。下の写真は、薬局で購入した亜鉛サプリメントのパッケージ裏面です。
亜鉛の吸収率を上げる成分
グルコン酸亜鉛とセットで摂取することで亜鉛の吸収率をさらに上げることができる成分が、黒胡椒から抽出されたエキス「バイオペリン」です。バイオペリンは、一緒に摂取した栄養素の吸収を上げる働きがあります。
正確には胃腸の吸収を高めて、摂取した栄養素をできるだけ多く利用できるようにする働きがあるのです。このようなバイオペリンの効果は、様々な臨床試験によって証明されていて、米国で特許を取得しています。
参照『サビンサ社バイオペリン』
サプリメントに配合されているバイオペリンは、吸収を上げる補助的な役割を担っているため、吸収率の低い亜鉛の摂取には必須の成分と言えます。
インターネットを利用して亜鉛サプリメントを購入する場合は、販売ページ(サプリメントの公式ページ)を見て、サプリメントの成分のなかに「グルコン酸亜鉛」と「バイオペリン」の記載があるかを確認しましょう。記載がない場合、電話かメールで問い合わせて確認することもできます。
具体的な例として、グルコン酸亜鉛とバイオペリンが配合されているサプリメントのパッケージ写真を載せます。
バイオペリンは農林水産省が定めた成分表示の規定(JAS法)により、「黒胡椒抽出物」と表記されています。「バイオペリン」という記載ではないため、注意が必要です。
以上、繰り返しになりますが、亜鉛サプリメント選びのポイントは、「亜鉛の吸収率を上げる作用があること」です。
具体的には、吸収率の高い「グルコン酸亜鉛」と亜鉛の吸収を上げる「バイオペリン」の2つの成分が配合されているサプリメントを飲めば、亜鉛の体内吸収を高めて、1日に必要な量の亜鉛を手軽に摂取することができます。
亜鉛サプリメントを飲むタイミング
「でも、サプリメントっていつ飲めば良いのだろう……」と思ってしまう人もいますよね。亜鉛サプリメントは、飲むタイミングが決まっていないため、いつ飲んでも問題ありません。しかし、パン、ハンバーガーなどのファーストフード、カップ麺などのインスタント食品を食べた直後は、サプリメントを飲まないようにしましょう。
パンやファーストフード、インスタント食品に含まれている食品添加物の影響で亜鉛の吸収率が下がってしまうからです。具体例を挙げると、パンに含まれている食品添加物(フィチン酸)を食物繊維やカルシウムと一緒に摂取すると、体内で亜鉛が溶けにくくなり、吸収されにくくなります。
またお酒と同時に、サプリメントを摂取することも控えましょう。お酒を飲むと、体内のアルコールを分解するためにたくさんの亜鉛が消費されてしまいます。その結果、男性ホルモンを作るための亜鉛が足りなくなってしまうのです。
亜鉛サプリメントを飲むおすすめのタイミングは、就寝の30分~1時間前です。なぜなら睡眠中は男性ホルモン(テストステロン)の量が増えるタイミングでもあるため、男性ホルモンを作るための亜鉛をたくさん補給しておく必要があるからです。
まとめ
亜鉛がEDに効く理由は、亜鉛を摂取するとテストステロンが増えて、その影響で性欲が向上するためです。
亜鉛は食事で摂取できますが、摂取した亜鉛全てを体内で吸収することはできません。食事で亜鉛を摂取する場合は、クエン酸を一緒に摂ると亜鉛の吸収率が向上します。しかし毎日食事で亜鉛を摂取するのはかなり大変です。したがって、亜鉛摂取は手軽に摂取できるサプリメントをおすすめします。
亜鉛サプリメントは、亜鉛の吸収率を上げる成分である「グルコン酸亜鉛」と「バイオペリン」が配合されているものを選びましょう。テストステロンは睡眠中に増えるため、テストステロンの生産に欠かせない亜鉛サプリメントは、就寝の30分~1時間前に飲むことをおすすめします。
そうすれば、テストステロンを効率良く増やし、EDを克服するための体質改善効果が期待できます。