運動不足は、勃起不全(Erectile Dysfunction、以下 ED)の原因の1つといわれています。
EDに悩む40代男性の中には、年齢や体力の衰えを感じたり、医者から「運動が有効」とアドバイスを受けたりして、運動を始めてみようと考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、「なんとなくEDの改善に良さそうだから」と運動を始めてみたものの、たいした効果も実感できず、すぐに飽きて運動をやめてしまった経験はないでしょうか。私も過去、同じ経験を繰り返しました。
ED対策で運動を続けるポイントは、「なぜ運動がEDの予防と改善に効果的なのか?」という理由を知ることです。運動をする目的が明確になれば、運動を継続するモチベーションを保つことができます。
そこで、このページでは、運動をすることによってEDの予防と改善効果が期待できる2つの理由を解説します。それは、「男性ホルモンの増加」と「ストレスの緩和」です。
このページを参考にして、運動するモチベーションを高めて、ED対策をしましょう。
男性ホルモンの増加
運動がEDの予防と改善に繋がる理由の1つ目は、男性ホルモン(以下 テストステロン)の増加です。
テストステロンは、性欲やペニスの勃起に必要な一酸化窒素(NO)と呼ばれる物質を増やす働きがあり、EDに悩む男性にとっては必要不可欠です。
運動不足の男性は、体内で分泌されるテストステロンの量が少ない傾向にあるため、性欲の低下やセックス中の中折れなどで、EDになってしまう可能性が高いです。
では、なぜ運動をするとテストステロンが増えるのでしょうか。
テストステロンには、筋肉の材料であるタンパク質を作り、筋肉を修復して増やす働きがあります。
マラソンや筋トレなどの運動を行なうと、筋肉に負荷がかかり、筋肉が破壊されます。すると、体内では、テストステロンがたくさん作られます。テストステロンは、傷ついた筋肉にたんぱく質を補給して、筋肉を修復するのです。
テストステロンは、主に睾丸(精巣)で作られます。
睾丸(精巣)で作られたテストステロンは、血液と一緒に血管の中を通って体内を巡り、その一部が筋肉に取り込まれます。テストステロンが筋肉に取り込まれると、筋肉の材料であるタンパク質の生産が行なわれ、傷ついた筋肉を修復するのです。
特に運動直後は、大量のたんぱく質を必要としますので、睾丸(精巣)は、たくさんテストステロン作りに励みます。なお、テストステロンは筋肉細胞内でタンパク質の生産を促した後、消費されてなくなります。
下図は、筋トレ後のテストステロンの上昇率を表したグラフです。
引用『日本Men’s Health医学会 NewsLetter Vol.10 December 2012』
図は、「軽い負荷の筋トレ(青色と赤色のグラフ)を10回×3セット」と「軽い負荷の筋トレ(緑色と紫色のグラフ)を3回×8セット」を実施して、「筋トレ直後」「15分後」「30分後」のテストステロンの上昇率を表しています。
注目するべき箇所は、「筋トレ直後」のテストステロンの上昇率です。「筋トレ30分後」と比較すると、重い負荷をかけたときのテストステロン値は、10〜25%近く上昇しています。
つまり運動直後はテストステロンがたくさん増えて、時間が経つと減っていき一定の量に落ち着きます。
ここで、「テストステロンは、運動直後だけしか増えないのか?」と疑問に思うかもしれません。しかしテストステロンには、筋肉の修復だけではなく、筋肉を維持する働きもあります。
筋肉の量が多ければ、それを維持するためにテストステロンの量もたくさん必要になります。つまり、運動を継続して筋肉が増えると、テストステロンも増えるのです。
テストステロンが増えると、性欲が増して、ペニスが勃起しやすくなりします。筋肉を増やす筋トレは、テストステロンの増加に最適です。
ストレスの緩和
ストレスは、ペニスの勃起に悪影響を与えます。主な理由は、緊張状態の継続とストレスホルモン(コルチゾール)の過剰分泌です。
人はストレスを受けると、緊張状態になります。あなたは、セックスの最中、緊張してペニスが中折れしてしまったという経験はありませんか。
これは、緊張状態が続くと、脳にある性欲中枢の働きが抑えられてしまうため、ペニスが勃起しにくくなってしまうからです。
またストレスを受け続けると、体内でストレスを緩和するホルモン(コルチゾール)がたくさん作られます。
コルチゾールがたくさん作られると、男性ホルモンの生産が抑制されてしまいます。その結果、男性ホルモンが足りなくなり、精子の減少や性欲低下を引き起こして、EDになりやすくなってしまうのです。
そこで運動をしましょう。運動にはストレス発散効果があり、緊張状態の継続とストレスホルモン(コルチゾール)の過剰分泌を抑えます。
ここでは、運動が緊張を和らげる働きとコルチゾールの過剰生産を抑える理由を解説します。
運動は不安や緊張を和らげる
運動には、不安や緊張を和らげる効果があります。
その結果、脳の緊張状態が解けていき、ストレスから徐々に解放されます。
なぜ運動には、このような効果があるのでしょうか。
それは、運動をすると体内で「不安や緊張を和らげるホルモン」が作られるからです。
具体的に説明すると、運動をすると心拍数が上がり、血流が増えて心臓から脳へたくさんの血液が送られます。このとき、ホルモンが心臓で作られて、血液と一緒に脳に運ばれます。このホルモンが、脳に作用してストレスを抑え、不安や緊張を和らげるのです。
私は、会社でイライラしたり、ストレスを溜め込んだりすることが頻繁にあります。そんな時は、仕事帰りにスポーツクラブで汗を流すように心がけています。
1日仕事をした後の運動は、正直ダルくて疲れますが、運動後はとても頭がスッキリして気分が軽くなります。リラックスした状態でその日の夜を迎えることができるため、セックスをする機会が増えて、パートナーにも喜ばれています。
心拍数を上げて「不安や緊張を和らげるホルモン」を増やすためには、水泳やウォーキングなどの有酸素運動が適しています。
コルチゾールを抑えてテストステロンを増やす
さらに運動には、コルチゾールの過剰生産が抑えて、テストステロンを増やす効果があります。
コレステロールを材料として、ストレスを受けると体内で作られるホルモンがコルチゾールです。
コレステロールは、テストステロンの材料でもあります。つまり、コルチゾールの量が増えると、コレステロールが大量に消費されてしまうため、「テストステロンを作るためのコレステロール」が確保できなくなってしまいます。
テストステロンが減ると、性欲低下や精子が減少し、EDを引きおこしやすくなります。
運動によってストレスが発散されて、コルチゾールの過剰生産が抑えられると、テストステロンを作るためのコレステロールが確保されます。その結果、テストステロンが増えるため、精子の減少や性欲低下を防ぎ、EDになりにくくなるのです。
運動を継続するとストレスに強くなる
運動を継続すると、ストレスに強い脳が作られます。ストレスに強くなると、物事に動じにくくなります。すると、セックスをする時に緊張する機会が減り、ペニスの中折れを予防することができるのです。
運動すると心拍数があがり、心臓から脳へ血液がたくさん送られます。すると、脳内で「脳の栄養素(BDNF)」となる物質が作られます。この物質は脳内でタンパク質をたくさん作り、脳の成長を促して、ストレスに強い脳を作る働きがあります。
運動で傷ついた筋肉の増強にタンパク質は不可欠であり、さらにはストレスでダメージを受けた脳を強化するためにも必要なのです。
運動直後のストレス発散効果だけではなく、運動を継続して行なうとストレスに強い脳を作るのです。
私が試した運動方法
EDを改善させるため、実際に私も6ヶ月間運動をしてみました。
私が試した運動は、「テストステロンを増やすための筋トレ」と「ストレス発散のための有酸素運動」です。心がけたことは、短期間で成果をあげようとせず長期間継続することでした。
なぜなら、ED対策の運動で重要なポイントは、「テストステロンを増やすために常に筋肉に刺激を与えること」と「継続することで脳を鍛えてストレスに強くなること」だからです。
では、具体的に私が行なった運動内容を紹介していきます。
テストステロンを増やす筋トレ(週2日)
・腹筋(5回×3セット)
・腕立て伏せ(5回×3セット)
自宅で行ない、腹筋ローラーとシットアップバーを使用しました。以下がそのときの器具です。
筋トレは1回の動作をゆっくり行ない、筋肉に長く負荷がかかるようにしました。例えば、腕立て伏せは身体を下ろす時に15秒かけて、上げる時は腕が伸びきる手前で止めました。こうすると筋肉が刺激される時間が増えて、テストステロンがたくさん作られます。
無理なく続けるため、回数を少なくして、運動時間を15分以内におさまるようにしました。こうすることで、時間があまりない時でも運動することに抵抗がなくなります。
ストレス発散のための有酸素運動(週2~3日)
・水泳(クロール 50m×6セット)
有酸素運動といえばジョギングやウォーキングなどが有名ですが、私は水泳を選びました。ウォーキングやジョギングをいきなり始めると膝を痛めてしまう心配があったためです。また近所でウォーキングしている姿をみられることが、なんとなく恥ずかしくて抵抗がありました。幸いにも自宅から徒歩5分の場所にスポーツジムがあったため、仕事から帰宅した後、そのスポーツジムのプールで泳ぎました。
水泳も1時間以内に終わる内容にして、無理なく続けられるように努めました。出来るだけ長い距離をゆっくり泳いで心拍数を上げるようにしたかったのですが、1セットに泳ぐ距離は50mが丁度良かったです。ただし、その日の体調次第で泳ぐ距離を25mに減らしたり、100mに増やしたりしました。
泳いだあとは、適度に疲れてリラックスできます。そのため、仕事でイライラした日は、帰宅が遅くなっても泳ぎにいきました。
その他の運動
・階段の昇り降り
下半身を鍛える目的で、通勤時の駅構内の移動でエスカレーターを使わず、階段を使いました。下半身には全身の筋肉の70%が集まっているため、階段を使って下半身を鍛えれば、筋肉とテストステロンを増やすために効果的だと思いました。また、私の勤め先はビルの8階にあるため、昼休みは非常階段を使って8階まで昇りました。
階段昇りで意識したことは、2段ずつ上がり脚の筋肉にかかる負荷を高めたことです。この運動を始めた当初は、息があがり脚も疲れましたが、2週間後には疲れもなくこなせるようになりました。
下半身の筋肉を鍛える目的で始めましたが、かなり息があがるため、有酸素運動としても有効だと感じました。
運動をした結果
6ヶ月運動を続けた結果です。
脂肪が減った
下の写真は運動をする前と後の私のお腹を撮影したものです。
お腹まわりの脂肪がとれて、少しスッキリしました。テストステロンには脂肪を減らす働きがあるため、運動によって、テストステロンが増えた影響が大きいと思います。ちなみに食事管理は、暴飲暴食を避ける程度で、1日3食摂っていました。
朝立ちの頻度が増えた
運動を始める前は、1週間で1度も朝立ちしないことがありましたが、運動を続けた後では、週に3日は朝立ちするようになりました。朝からペニスがカチカチに勃起すると気分がよくなり、テンションがあがります。
仕事中に勃起することが増えた
毎日ではないですが、仕事中にエロい妄想をして勃起する機会が増えました。ストレスを溜め込まず、リラックスして仕事にのぞめている影響だと感じています。
ED治療薬が効くようになった
私はED治療薬を服用してセックスをする機会が多かったのですが、治療薬の効果が徐々に感じられなくなり、服用してもペニスの勃起が持続せず中折れしてしまうことが続いて落ち込んでいました。しかし運動を継続した後に治療薬を試しに飲んでみたところ、運動を始める前よりも効果を強く感じることが多くなったような気がします。治療薬を飲んだ時は、セックス中にペニスが中折れすることがなくなりました。
ペニスが中折れしても勃起が回復する
これが一番うれしい効果でした。以前はペニスが中折れすると勃起が回復することなく、セックスを続けることができなくなっていました。運動を継続した後では、ペニスが中折れしてもパートナーとしばらく抱き合ったり、ペニスに刺激を与えたりすると勃起が回復します。
運動の継続で感じたメリットは、「性欲が高まった」「ペニスが勃起しやすくなった」ことです。また「運動を継続している」ことが自信につながり、セックスをする時の緊張が減りました。これはテストステロンが増えた影響で、血流がよくなりストレスが軽減された影響だと感じています。
適切な栄養摂取で運動効果をアップ
運動習慣は、ED改善のための身体作りに効果的です。しかし、十分な運動効果を得るためには、必要な栄養を適切に摂取することが重要です。
なぜなら、運動によってもたらされる体質改善には、材料となる栄養素が必要になるためです。
たとえば、テストステロンの生産には、体内の酵素の働きが必要になります。
酵素の働きを活性化するためには、亜鉛などのミネラルとよばれる栄養素が必要になります。
厚生労働省は、40代男性に必要な亜鉛の食事による1日の摂取量は、8〜10mgと発表しています。
参照『日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要』
亜鉛は、よほどの偏食ではない限り、普段の食事で摂取することができます。
亜鉛をたくさん含んでいる食材といえば牡蠣で、1個に含まれる亜鉛の量は13.2mgと豊富です。スーパーのお惣菜コーナーの牡蠣フライは、値段も安くて手軽に亜鉛を摂取することができます。そのため、私も週3日は食べています。
しかし、亜鉛は体内での吸収率が低く、食べあわせによって吸収率が下がることもあるため、食事だけでは必要な量を摂取できない可能性があります。
食事で亜鉛を摂取することがむずかしい場合は、サプリメントの使用をおすすめします。サプリメントのメリットは、必要な成分がバランスよく配合されているため、亜鉛の吸収率を高めてくれることにあります。
また、サプリメントは、飲みやすい錠剤タイプのものが多いため、1日に必要な量の栄養素を無理なく摂取できます。
栄養摂取が不十分だと、運動の効果を実感するまで時間がかかります。一方でサプリメントの使用で栄養摂取することによって、運動の効果をより早く実感できる可能性もあります。運動効果を実感することができれば、運動のモチベーションもさらに上がります。
運動をしてもED改善をなかなか実感できないという人は、サプリメントを飲むことをおすすめします。
まとめ
運動には、ED改善効果が期待できる2つの理由があります。2つの理由とは、「男性ホルモンの増加」と「ストレスの緩和」です。
運動によるED改善効果をアップするためには、必要な栄養を摂取することが重要です。食事による栄養管理が難しいと感じる人は、手軽で無理なく栄養が取れるサプリメントをおすすめします。
あなたも運動習慣とサプリメントで栄養を取り、1日でも早くED改善効果を実感して、充実したセックスライフを送りましょう。